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「エネルギー基本計画」のひどい内容

公開日: : 気になるニュース

記事:金子勝 2013年12月18日 11:46

秘密保護法が国会で採決された日に、どさくさ紛れに、経済産業省の「総合資源エネルギー調査会基本政策分科会」で「エネルギー基本計画」の素案が提示されました。当然、その内容のひどさにもかかわらず、新聞記事は小さくなってしまいました。

主な内容を見ると、以下の通りです。

●原発の依存度を可能な限り低くするとしながらも、電力の安定供給、コスト低減、温暖化対策の観点から、安全性の確保を前提に原発を「重要なベース電源」として位置づけた。民主党政権下の「2030年代に原発ゼロとする」という方針が根本的に覆されてしまった。

●いま全国で7つの原発の14基が、原子力規制委員会の安全審査を受けているが、原発の再稼働に前向きな姿勢を明確にした。

●民主党政権下で「原発の新設・増設は行わない」とされたが、今回は原発の新設や増設については直接言及せずに「必要とされる規模を確保する」とし、新設や増設に含みをもたせた。

●全体の電力供給に占める電源別の構成比率について、現時点で原発の再稼働が見通せないという理由をあげて示さなかった。それは、ずるずる方式をとることを意味する。

●使用済み核燃料について、「国が前面に立って最終処分に向けた取り組みを進める」とし、最終処分場の候補地を自治体からの公募に頼るこれまでの方法を改め、処分場に適した地域を示すなど国が主導して問題に取り組む姿勢を明確にした。だが、具体策は何も示さなかった。

●ただし太陽光や風力といった再生可能エネルギーについては、今後3年程度、導入を最大限加速していくとした。だが、3年以後については書かれていない。

今回の「エネルギー基本計画」が何より問題なのは、民意を反映させるプロセスを全く欠いていることです。

昨年9月に民主党政権下において決めた「2030年代に原発ゼロ」とするエネルギー政策は、討議参加型世論調査と銘打って各地において公募の参加者の意見表明がなされました。また当時、9万を超えるパブリックコメントが寄せられ、原発ゼロが圧倒的でした。

こうした討論参加型世論調査と比べてみると、今回は総合資源エネルギー調査会基本政策分科会において脱原発を主張する委員を降ろし、原発推進の立場に立つ委員に差し替えたうえで、官僚主導の業界利益のための審議会政治へ逆戻りさせたもので、民意を完全に無視したものです。まるで福島原発事故などなかったかのようです。

嘘で塗り固めた非現実的な「計画」

使用済み核燃料の最終処分場は見通しが立たないという根本的問題を別にしても、原発を「重要なベース電源」と位置づける根拠がきわめて薄弱です。

まず電力不足と安定供給を理由にあげていますが、大飯原発を再稼動させる前にも、計画停電が必要だとして電力が不足するという嘘キャンペーンを展開しました。

昨年夏を見ると、最大電力需要があった8月3日の14時台で2682万kWでしたが、想定した最大電力需要2987万kWを300万kW以上も下回りました。2010年夏の最大電力需要である3095万kWと比べると400万kW以上も少なかったのです。節電効果を過少に見積もったため、余剰電力が1割ほど発生したのです。

今夏も猛暑でしたが、さすがに嘘キャンペーンは鳴りをひそめました。むしろ省エネ=スマート化をひとつの産業戦略にしていく発想こそが求められています。電力不足は原発再稼動の理由になりません。

そこで次に出てきたのが、燃料費増加キャンペーンです。

経産省は、原発停止による火力発電への代替により、2012年度に燃料費が3.1兆円増えたとする数字を1人歩きさせています。しかし、河野太郎議員によれば、ここでも計算のゴマカシをしています。


参照 経産省の嘘/衆議院議員 河野太郎公式サイト

http://www.taro.org/2013/11/post-1420.php


経産省は、2010年度の過去3年間の原発の平均電力量である2748億kWhから、泊3号機と大飯3、4号機の発電電力量156億kWh(2012年度)を差し引いた2592億kWhを全て火力発電で代替したと仮定して計算しています。

しかし実際には、節電や省エネが進んだこともあって、火力発電の焚き増しは1827億kWh に過ぎませんでした。つまり、766億kWhも過大な数字で計算しているのです。しかも、その火力発電の内訳をみると、燃料単価が高い石油火力を1206億kWhも発電するとして見積もっています。また、LNGの価格は、40年も前にカタールと結んだ契約に基づいて原油価格の上昇に連動させた価格で計算しており、ガスの調達先を分散すれば、かなりの節約が可能なのです。

環境エネルギー政策研究所や自然エネルギー財団の試算によれば、燃料費コストの増加分は3.1兆円の半分の1.5兆円程度です。ここでも経産省は、原発を再稼働させたいために燃料費増加を過大に見積もっています。

三年目の「暑い夏」を迎え、冷静に本質的な問題に向き合う時
~原発ゼロでの電力需給および経済的影響の評価~

エネルギー基本計画 3つの論点(pdfファイル)

出典 http://blogos.com/article/76138/

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